コギャルの友情2009/04/15 00:49:16

その日は用事があり昼過ぎに部屋を出た。
その街は昔は遊園地があり、小さい頃にたまに親に連れてきてもらった事がある。
用事が済んだ後近くを流れる川に足を運んだ。
冬の終わりだがまだ春の足音は聞こえないぽかぽかした弱い風のある午後だった。

車の陰で若いギャル風の二人が何かに火をつけているような光景が目に入った。
風でライターの火が消えてしまい苦労しているようである。
昼間から花火でもやるのかな?
などと想像しながら川の方に向かった。
水面に太陽光が反射してのどかなひと時を感じながら上流方面に歩いた。
広い川原には自動車や電車、町の喧騒などは聞こえない、この川の流れが止まれば、すべての時間が止まったような感覚になれそうである。

少し歩いた後今来たところを引き返した。
先ほどの車の前には今度は四人の女性がいた。
うち二人はさっきの二人である、残りの二人もギャル風で渋谷センター街辺りを闊歩しているようなイメージの子達である。
その四人との距離が縮まるに連れ気がついた。
なにやら美味しいそうにケーキを食べているのである。
川原でケーキ?
なんとも不思議な光景である。
しかし会話の一部が聞こえたことによりすべてが理解できた。

一人が誕生日なのである。
そして一人が車の横で誕生日の彼女と話をしてる間に陰で先ほどの二人がケーキ用のローソクに火をつけていたのだ。
三人で「サプライズプレゼント」をした瞬間に遭遇したのである。

川原で誕生日パーティーとはなんとも微笑ましい光景である。
服装からしておしゃれなカフェやレストランのようなところで誕生日パーティーをするイメージのギャル達がわざわざ計画して「サプライズ」を仕組んだのである。
思わぬサプライズプレゼントに当の本人は驚きそして嬉しかったのだろう、ハンカチで涙を拭いている。
友を思う素敵な友情を感じた。
春はもう少しだが私の心には暖かい春一番が吹いた。