KD-A5 コンデンサー交換 ビクター カセットデッキ2024/02/24 02:47:46

KD-A5を復活させるべくメンテナンスとしてコンデンサーを交換します。
70年代に主流だった水色のコンデンサーが多用されています。
時代的に当然といえば当然です。
まだIC化が進んでいないのかコンデンサーの数はかなり多いです。
一度では終わりそうもないので的を絞ります。

電源基板
ロジック系
再生回路の信号系
ヘッドホン出力系
のコンデンサーを交換します。
ラインアウトでテープを聞くことは今のところないので、
そこはそのままにします。
KD-A5の図面が無いため輸出用の図面を参考にしましたが、部品番号や一部
ICが違っています。


再生信号系が通過する部分はオーディオ用コンデンサーを使います。
手持ちのエルナーのトーンレックスが使えそうです。

KD-A5 コンデンサー

オレンジ色のコンデンサーは低リークです。
この当時オーディオ用コンデンサーはまだ主流ではなかったため
要所には低リークを使っていました。

交換後はヘッドホンで聞いているせいかもしれませんが、
音の解像度が上がってクリアになったように聞こえます。

再生回路の初段トランジスタを変えればもっと改善できるかも知れません。

このKD-A5は出力コントロールが調整できるのですが、ヘッドホンではなく
ラインアウトレベルを調整します。
普通は逆なのですが、どういう理由なのかわかりませんがヘッドホンは
固定出力でしかもレベルが高くヘッドホンから音が漏れるほど煩いです。
いずれ調整出来るように改造しようと思います。

KD-A5 メーターランプ交換 ビクター カセットデッキ2024/02/16 03:15:46

KD-A5のメンテナンスの一環としてメーターランプを交換します。
フィラメントタイプからLEDにします。

切れたわけではありませんが、当時一部の機種で使われていた
バックライト透過式のメーターは非常に見づらいです。

東芝のPC-X88ADも同じタイプです。
他機と差別化を図る目的だったと思いますが流行はしませんでした。

KD-A5ランプ

左のLEDに交換します。片チャンネル2個使用します。
右は取り外したオリジナルのヒューズ型ランプです。
薄い青色のスリーブが被せてあります。
消費電力は29WですがLED化でかなり削減できます。

KD-A5 LED化

ランプ交換後の様子です。
白色LEDを使用したので透過部が青くなっています。
全体的に明るくはなりましたが、特別見やすくなったかというと
そうではないです。
他色のLEDを使ってこの青く見える部分を変化させれば改善できるかも
しれません。
あるいは、
メーターパネルの裏に目隠しをして透過を抑え四方から明かりが
差し込む様にしたほうが良いかなと?推測します。
針を見やすくするには横方向からか、正面から明かりを当てる必要があります。

今後の課題として今回はひとまずこれで良しとします。





KD-A5 ビクターカセットデッキ2024/01/16 02:30:45

ビクターの傑作KD-A5です。

今回は修理、メンテナンスではなく紹介です。
KD-A5はある意味革新的な存在のカセットデッキと思います。

その理由は、
KD-A5は普及機としての価格帯59800円で発売されました。
当時のこの価格帯ではまだメタルテープ対応機は有りません。
そして操作ボタンがピアノレバー式メカニカル動作が基本でした。
ロジックコントロールタイプは中級機以上で価格差による差別化が
されていました。

それをこのKD-A5が対応してしまったのです。
これをじゃんがらラーメンで例えると、スタンダードラーメンの価格で
全部乗せを実現した状態なのです。

メタルテープが出始めた頃なのでメタルテープ録音に興味を持った
オーディオファンが一気に飛びつき爆発的に売れました。
一時的にはこの価格帯ではKD-A5の独り勝ちでした。
1979年発売ですが未だにヤフオクでは良く取引されているのを見かけます。
これはかなりの台数が売れたことを意味しています。
そして大切に扱われ生き残っているという証です。

JVC KD-A5 修理

テープホルダーが右側、レベル調整ボリュームがセンターと他機とは違う
レイアウト構成が好きになれず個人的には違和感を感じるデザインでした。

LEDピークインジケーターやバックライト透過式VUメーター等こだわりが
随所に見られます、これもこの価格帯では斬新です。
このことからビクターはかなり頑張った戦略を展開したと思います。

オーディオ全盛期から何年も経過し、低性能機や不人気機等は存在を
減らしていく中生き残っているKD-A5は今となっては貴重な存在です。

冒頭にも書きましたが「全部乗せ」を低価格で実現したビクターには感謝ですね。

そんな思いからこのKD-A5を入手して整備して蘇らせたいと、入手しました。

TC-K88 ベルト交換2024/01/08 03:25:21

TC-K88は発売から今年で45年経ちます。ほぼ全ての個体についてリニアスケーティング用のベルトが伸びているはずです。
TC-K88のヤフオクでも「カセットホルダー部分がせり出してこない」という商品説明をよく目にします。
今回は修理ではありません。
TC-K88のベルト交換をします。
伸びの程度に差はあれ、これからも大切に使っていきたいのでしたら高価なものではありませんので交換すべきと思います。

「オープン&クローズ」ボタンを押して数センチせり出たところで電源を切ります。

TC-K88 リニアスケーティング

これくらいせり出せば作業はできます。
念のため電源プラグも抜きます。
カバーを外します。
背面の軸側のプーリーを指を差し込んで回し、手動でせり出しを促しモーター付近の作業スペースを広げます。

TC-K88 ベルト交換

オープン&クローズボタンで開閉の動作が可能でしたら最初から半分程度せり出した位置で止めたほうがいいです。

TC-K88 伸びたベルト

モーター側のプーリーからベルトを外し軸側から抜き取ります。

新しいベルトを嵌めて完了です。

最初の時点でオープン&クローズボタンで全く開閉が効かない場合は隙間が
作れませんので基板を外さないと出来ないかもしれません。

今まで複数台のTC-K88のベルト交換をしましたが、切れているものも、
溶け落ちているものはなく伸びているものだけでした。

このことからベルトとしては高品質のものが使われていたのだと思います。
硬化してますがねちょねちょ感は全くなく少しひびが入っている程度です。
太めの角ベルトです。

TC-K88 伸びたベルト

TC-K88よりかなり後に発売されたセットデッキではキャプスタン系のベルトは溶け落ちてプーリーにこびりついてる物が多く見受けられます。
たかがベルトですが、この時代のソニーのものづくりは徹底していましたね。
そのこだわりに感銘を受けてソニー製品をたくさん買わされました。

パイオニア PL-50Lを修理する2023/09/30 02:30:19

PL-50Lが突然故障です。
演奏中に途中でアームが上がってしまうという症状です。
坂本龍一氏が亡くなられてYMOのレコードをかけていた時に起きた。
最後まで再生しないで途中でトーンアームがリフトアップします。

これを修理します。
調べるとPL-50Lには良く起きる故障らしい。
このシリーズPL-30L PL-50LⅡ PL-70L PL-70Ⅱなども共通の故障
であることが分かった。

まずは分解です。
ターンテーブルとその下のカバーを外すと基板が現れます。
底板を外して基板が逆さまに部品がぶら下がるようについてる
レコードプレーヤーが多い中この作りはメンテナンスがしやすく有難いです。
特にこのPL-50Lシリーズはオイルダンプ用のオイルを抜かないと
逆さまにできません。
これはかなり面倒です。
PL-50L 基板

7個のタンタルコンデンサーの導通を計るとC37が0.5kΩ程度しかありません。
ショート寸前です。
タンタルコンデンサーの故障モードは「ショート」なので回路によっては
他のパーツを巻き添えにします。
完全に故障する前に交換するのが理想です。
PL-50L タンタルコンデンサー

このタンタルコンデンサーは25V6.8μFです。
これを手持ちの積層セラミックコンデンサーに50V 10μFに交換します。
PL-50L トーンアーム修理
コンデンサの容量でアームリフトアップのタイミングを定数として決めているらしい。
タンタルコンデンサー不良が原因と思われるのでVRはいじりません。

組み立てて試運転してみます。
手元のレコード盤をかけてみましたが、最後まで再生してトーンアームが
リフトアップします。

3.2μF容量が増えた分タイミングが若干本来より遅くなったような気がしますが問題ないレベルです。

このまましばらく様子を見ることにします。