パワーアンプ TA-N86の修理① ― 2022/07/11 00:15:35
TA-N86故障と修理 片チャンネル音が出ない
TA-N86はTA-N88の弟分で1970年代最後のソニーの傑作エスプリシリーズのパルス電源搭載パワーアンプだ。久しぶりに電源を入れたら左チャンネルから音が出ない。
TA-N86の筐体はでかいが天板、底板が簡単に外れるので修理はやりやすい。
先ずは開腹して基板をチェック。
足が真っ黒なトランジスタを発見、右チャンネルのものは銀色を保っている。
電源を入れて様子を見ると右チャンネルのそれは熱を帯びるが左チャンネルの足の黒いトランジスタは冷たいまま、更にパワートランジスタも冷たいまま。
足の黒いトランジスタが死んでいるのでは?
と想定して左右を入れ替えてみる。
足の黒いトランジスタは右チャンネルの回路では熱を帯びる、そして正常に音も出る。逆に右チャンネルのトランジスタは冷たいままだ。
トランジスタは両方とも生きていることがわかった。
真っ黒な足を磨いて左右とも元に戻した。
図面を見ながら電圧を確認すると上の青〇(左チャンネル)の電圧がかなり低い、真ん中の青〇(右チャンネル)は図面通りの電圧が出ている。
下の青〇は電源側だが正常だ。
電源が故障なら左右の青〇は同じになるはず、どこかのトランジスタが 故障でも同じ電圧になるはずではないか?
電源から真ん中の青〇までは正常なのは間違いないとすると上の青〇と真ん中の青〇の間に原因があることになる。
その間にはC117の電解コンデンサが(-)電源ラインとの間に入っているだけで他に半導体は無い。
パワーアンプ TA-N86の修理 ② ― 2022/07/12 02:45:18
TA-N86修理中の基板半田面
このTA-N86は過去の修理でコンデンサを新品に交換しているので、問題ないはず。図面の青〇の部分を基板上で確認するとパーツは無く、信号が通るラインだけである。
このパワーアンプは両サイドが放熱フィンになっていて本体を表裏逆さまにするのが楽で修理、メンテナンスがやりやすいのがTA-N86の特徴の一つともいえる。
画像右のケーブルの下あたりで基板上ラインの緑色の被膜が剥がれ線がむき出しになっているところがあった、
これだ。
ここで断線していたとは、念のため導通を計るとやはり切れている。
ジャンパ線をはんだ付けして繋いでみる。
導通はOK。
基板上のライン線が断線とは珍しい故障パターンだ。
回路の中であればパーツが沢山繋がっていて難航したかもしれない。
電子部品等の故障でなくてほっとした。
電圧がかかるようになったのでトランジスタは発熱している。
これで修理完了。
TA-N86復活。
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