武蔵小山 BAR Gray

土曜日にしては静かな幕開けだった。日付が変わる頃、パタパタという足音と共にめぐみ(仮名)は入ってきた。
今日は前回後からみえた友達も一緒である。バイトの帰りにしてはやや早いが早く終わる時もあるという。
珍しく今夜はビールから入った、友達もビールでお疲れ乾杯をして二人の会話が始まった。
いつも通りめぐみはめぐめぐモードに入っているが友達の方は相変わらず物静かで上品な雰囲気を醸し出している、落ち着いて見えるせいか実齢よりは大人に見られてしまうのではないかと思う。
聞いてみると、めぐみより歳は一つ上だと言う。めぐみのようにキャピキャピしていないところがアダルトな感じである。
友達は芋焼酎があまり得意ではないのか？、めぐみに勧められた飲み易い 島美人に挑戦している、めぐみはもちろん克を飲んでいる。
今夜は今のところ二人だけの貸切状態になっているせいかめぐみのテンションも全開には程遠い感じである。
こんな穏やかなめぐみは初めてである。
少ししてたまに週末に見みえる、やはり克をこよなく愛する私と同じ歳のお客さんが入ってきた。
めぐみとは既に数回会っていて以前「女将」の話で盛り上がった方だ。
彼はどちらかと言うと聞き上手なタイプなのでめぐみの会話の矛先はすぐに彼のほうへシフトしていた。
彼は克を飲みながらめぐみの話を聞いていたが、めぐみは以前隣席の友達を置いてきぼりにして先に帰ってしまったことがあるせいか友達にも気を使いながら克のお客さんとは会話も静かだった。