カセットデッキ TC-K88 修理とメンテナンス➇2019/03/11 02:02:47

ヤニだらけのピンジャンパー IC左上

半田修正

変色した金属皮膜抵抗を交換してTP452をチェックしてみるも、電圧は出てない。
CX193の21番端子は内部ショートでアースに短絡しているらしい。
それでもキャプスタンは正常回転に見える。

CX193内部故障ではお手上げなので、これはこれで一旦諦めることに。

抵抗を交換しての試運転だが変化は見られない。
抵抗値は正しいので影響はないのかもしれない。

もう少しの部品チェックと半田修正を念入りに行ってみよう。

操作ボタンが反応しない時はボタンを押したまま、ドライバーグリップの端面で
軽く半田部を叩いたりするとたまに反応しかけたりすることがある。
そこら辺を集中的に半田修正をしこの作業を丹念に繰り返す。

次は両面基盤の表裏を繋ぐピンジャンパーの半田修正を念入りに行う。
ピンジャンパーの半田はパーツ部の盛り方とは明らかに違う。
見習い女工さんが練習のためにやったようなヤニまみれで、
巣があちこちにできている物が多い。

長くこてを当てていると反対側の半田が溶けてしまう。
表裏を確認しながら両面盛りなおす作業は結構大変だ。

コネクタの端子部に小さな半田クラックを発見し、こちらも修正をした。

カセットデッキ TC-K88 修理とメンテナンス➈2019/03/13 04:30:39

動作確認

一通り作業を終えたので再び試運転してみる。

ゆっくり電源を入れる。

何音もなく静かに白いバックライトの液晶メーターが点いた
故障モード時なら入れた途端にソレノイドやRECリレーオンの音が出る。

再生ボタンを押すとヘッドが降りてテープが回り始めた。

いい感じだ。

早送り巻き戻しも正常に動く。
暫く再生しても途中で止まることはない。

一度電源を切って入れ直す。
やはり静かにスタンバイになる。

誤動作や無反応は起きない。

直ったかな。

少しガチャガチャいじってみるも不具合は起きない。
早送り、巻き戻しを繰り返してもカウンター表示は止まることも消えることもない。

オンのまま少し放置してもボタン操作は正しく反応する。
AMSも動作は正常だ。

今度はオフにして暫くしてオンにしてみる。
やはり問題は起きない。

どうやら完治したようだ。
長かったが復活に嬉しさがこみあげてきた。

カセットデッキ TC-K88 修理とメンテナンス➉2019/03/15 03:45:56

TC-K88 クラックによる半田不良

原因究明①

数日間様子を見たが今のところ不具合は起きない。

故障は完治したようだ。

今回の修理とメンテナンスで原因究明してみよう。

故障内容は

① 走行系ボタンが全く反応しない時がある。
② 再生、早送りは可だが巻き戻しはできない。
③ 電源投入時一部ボタンが勝手に反応する。
④ 電源投入時テープリメイニングが点灯し、
  オート、マニュアルボタ押しても解除できない。
⑤ 再生が少し動いてすぐに止まる時がある。
⑥ テープカウンター表示が時々文字化けする。

いずれの場合もリニアスケーティングのオープン、クローズは問題なし。
キャプスタンも正常回転。

最初の作業、電解コンデンサ、トランジスタ、IC交換で解決したのは
①②⑤の3項目⑥は解決したのか現象が出ないのか不明。


ここから先は私見に基づく推測なのでそのつもりで解釈していただきたい。

②⑤は何れもトランジスタ、ICの半田不良かオペアンプ(IC501、502)と
IC603(TC4019)、IC605(TC4069)辺りの不具合の可能性が強いと思われる。

トランジスタはどれも生きていたようだ。
ケミコンは弱っているものもあったが問題ない程度。

二階建て基板の一階、コントロール基板Aは部品面の数か所にコネクタが付いており、そのケーブルの重みで下に引っ張られるような負荷が常にかかっている。
その影響で弓なりに反っている。

半田不良が起きやすいのはその反りが原因ではないだろうか。
熱がこもりケーブルの自重で基板がゆがみ半田不良が起こる。
この構図は避けようがない、適度に半田修正を行うしかない。

ICにソケットを嵌めたのは、その為である。
反りでICの足が引っ張られてダメージを受けないようにするのが目的だ。

①については後述する。

カセットデッキ TC-K88 修理とメンテナンス⑪2019/03/17 04:32:34

原因究明②

① 走行系ボタンが全く反応しない時がある。

これについてはずいぶん悩んだ。

TC-K88は再生時「ヘッドを下ろす、テイクアップモーターを回す」と二つの
別回路があるのだが、ボタンが反応しないというのは二つの回路が同時に
壊れたことになる。
これはあまり現実的ではない。

調子が良い時は普通に動く、よって二つの回路がシンクロして好調不調を
繰り返すのはおかしい。

そうなるとIC601のマイクロプロセッサー自体の故障も疑うわけだが、
➂の現象とつじつまが合わない。

図面を見ながら熟考して一つの結論を出してみた。
ここから先も私見と推測なのでそのつもりで解釈してほしい。

K88は電源を入れるとキャプスタンが回りクリスタルロックがかかる。
その、「回転している」という信号をIC601が受け取らないと
反応しないのではないか?

キャプスタンが回っていない状態でヘッドが下り、テイクアップモーターが回るとテープを痛めてしまう。これを防止する機能ではないだろうか?
これをやっているのがサーボ基板の回転検出IC504(TC4024)である。

半田修正を行う前段階のIC交換で直ったと思われることからTC4024 が
不安定だったのではないか?
回転信号が出たり出なかったりか、出ていてもレベル異常でIC601が認識しなかった。

これが原因と考える。

交換後はこの不具合は一切出ていない。

カセットデッキ TC-K88 修理とメンテナンス⑫2019/03/19 03:25:02

原因究明➂

➂ 電源投入時一部ボタンが勝手に反応する。
④ 電源投入時テープリメイニングが点灯し、オート、マニュアルボタン
  押しても解除できない。

この現象について当初は、不良トランジスタのノイズや発振等に影響されて
マイクロプロセッサーが誤動作しているものと推測していた。

IC601は操作系を担うμPD547C-045、IC1001μPD546-044は
テープリメイニング等液晶メーターの表示関連を担う、
いずれともカスタマイズされ末尾の045、044がその個体識別番号だ。
因みにテープカウンター表示はIC602でμPD550C-023。

➂④の現象は同時の時もあればどちらか一方単独の場合もある。
やはり二つのプロセッサーが同時に故障するとは考えにくい。
第一作業のパーツ交換では改善がなかった。
半田修正しながら分かったことは各プロセッサーには誤動作と
関連付けされる
入力信号は無いということ。
プロセッサーが勝手に出力信号だけを出している。

これはプロセッサーがリセットされていないのでは?

電源投入時に各プロセッサーはリセット信号によりメモリ内の情報が
クリアされるはずである。
IC605(TC4069)からのリセット信号が各プロセッサーのリセット端子に
届いてないことが分かった。
ピンジャンパーの半田不良でリセット信号が途切れることが原因と判明。
➅のテープカウンター表示不良も恐らくこれが原因と思われる。
一つのリセット信号が複数に分岐されて各部に送られているのだが
IC602は半田不良が安定してたのかも知れない。