カセットデッキ TC-K88 修理とメンテナンス⑯ ― 2019/03/28 04:00:31
カセットデッキ TC-K88のこだわり
このカセットデッキの特徴は何といっても液晶メーター
リニアスケーティング
薄型デザインの3つでは無いだろうか。
「あの液晶メーターは故障しやすい。」
「液晶メーターの故障は修理できない。」
と、当時TC-K88を秋葉原に見に行った友人達は、
数店で同じこと言われたといっていた。
彼らはローディを買ったり、TC-K777を買った。
K88を買ったのは私だけだが液晶メーターは今も健在である。
しかし、特筆したいのはリニアスケーティング。
その機構は親ねじと砲金。
これは回転運動を直線運動に変える仕組みで
産業用工作機械に使われている技術を取り入れたもの。
しかも親ねじは台形ねじだ。
台形ねじはねじ山に厚みがあるため摩耗に強い。
砲金はナットのことで親ねじより柔らかい材質で作り
ねじの摩耗を緩和させバックラッシュが大きくなってきたら
ナット側を作り替えることで延命させるという考えである。
ねじを切るよりナットのほうが簡単という発想。
工作機械などは1日フル稼働で親ねじの移動距離は数百メートルを超える、
それでも余裕で30年以上は持つ、これをK88に当てはめたら
きちんと潤滑をすれば100年はいけるのではないだろうか。
家庭用のオーディオカセットデッキでこれはまさに驚愕である。
後に主流になるCDプレーヤーは樹脂製のラック&ピニオン機構だ。
これでもリニアスケーティングは可能だが敢えて親ねじと砲金機構を
取り入れた、凄まじい拘りであるとともにコストがかかっている。
メカ系だけで見ればノンベルトダイレクトドライブ、
少ない樹脂製パーツのおかげでロングライフを実現しているTC-K88は
お値段以上の価値があると思う。
88シリーズはこの後の最高級ブランドESPRITにバトンタッチして
薄型デザインは継承されるのだがチューナーとカセットデッキは
リリースされなかった。
近年ソニーは最高益更新で好調らしい、この元気なタイミングで
当時の技術者によるESPRIT復活プロジェクトで欠番だった
TC-K900、ST-J900のリリースはないだろうか?
ブラックフェイスのTC-K900、ST-J900、想像しただけでワクワクする。
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