カセットデッキ TC-K88 修理とメンテナンス⑮2019/03/26 05:00:51

SONY カセットデッキ TC-K88のデュアルキャプスタン&3ヘッド計画の痕跡

SONY TC-K88裏話?

カセットデッキ TC-K88は1979年発売である。

この88シリーズ最初のリリースは当然ながらプリアンプTA-E88とパワーアンプTA-N88。

翌年1978年にはチューナーST-J88とクロスオーバーネットワークTA-D88がリリースになった。
このTC-K88も本来なら一緒にリリースしたかったに違いない。
丁度この年の秋に初のメタルテープが登場したばかり、これに合わせて
88シリーズの完成を同じタイミングにしたかったはずである。

なぜなら1980年という新たな時代に向けて、ソニーのシリーズは
スリーナンバーへとモデルチェンジしTC-K777が登場するからだ。

TC-K777はTC-K88で実現できなかった設計者の思いを詰め込んだ
高級機の位置づけ。
3ヘッド、デュアルキャプスタン、RECキャリブレーション全てK88には無い
機能満載、そして一万円も安い魅力的なカセットデッキ。

その後TC-K777ES→TC-K777ESⅡと進化しロングセラーモデルになった。

二台の高級機が同期間リリースされていると人気を二分してしまう。
故にカセットデッキTC-K88は70年代最高峰モデルとしてリリースを
急がれていた。

カセットデッキTC-K88は設計上は3ヘッドだった?

しかし88シリーズ独特のデザインに開発に時間がかかったのだろう。
TC-K88は設計段階ではデュアルキャプスタンを目指していたと思わせる
痕跡がメカブロックの左側にデュアルキャプスタン用の穴が
開いている事からうかがえる。
デュアルキャプスタンという事は当然3ヘッド化がベースにあったはずだ。
しかし、あの薄型デザインでは断念せざる得ない結果になってしまった。

完成はしたものの試運転がうまくいかず多少の仕様変更や修正に
更に時間を割いてしまった。
後付け面付け部品の多さからその苦労が推測できる。
翌年にはTC-K777のリリースが控えてる手前もっと早くリリース
したかった筈だが結果的にぎりぎりの79年末になってしまった
というのが本音ではないだろうか?