親孝行2010/01/30 07:10:01

店前の掃除が終わり中に入ろうというタイミングでめぐみ(仮名)が歩いてきた。
飲み会の帰りだという。
立ち話もなんだからお茶でも飲んでいかないかと提案してみる。
お湯を沸かそうとすると「喉が渇いてるからお酒がいい」と言い出した。
飲み足りなさそうではないのだが「喋りたい」んだなと思った。
珍しくスパークリングワインを頼んだ。
飲み会では和酒を飲んできたのかなと想像する間もなく
「親孝行したいんだけど何がいいかな?」といきなり聞いて来た。
この若さでこのタイミングで親孝行とは?と急な質問に驚いた。

世間一般で言われているようなありきたりのことしか思い浮かばない。
両親の誕生日や記念日などにプレゼントをするとか
温泉とかの小旅行に連れて行くとか、しかし既に実行済みだという。
就職して間もないのに貰った給料で親孝行とは中々感心する。

一人のお客さんが入ってきてテーブル席に座った。
気になるのか、 めぐみは「なぜカウンターに座らないの?」と
言わんばかりに振り返る。

振り返ったまま話が続きしまいにはグラスとミックスナッツを持って
その女性の対面に座ってしまった。
相変わらずマイペースである。
初対面なのに自己紹介もなく話し相手にしてしまっている。
その女性はめぐみよりは一回りくらい上だろうか?
初めて来た店で初めて会うめぐみの話をいやそうな素振りもせずに聞いている大人である。

カウンターにはたまに見える女性のお客さんがめぐみの荷物の隣に座っていた。

親孝行の話はお預けになったまま時間が過ぎていった。

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